初めての土地で見えるもの。
家並みや、人や、ことば、地面や空の色、陰の色合い、空気の模様。
海蔵寺は、山中鹿之助の息女の墓があるほどに古い、禅宗の女寺である。
墓所から山頂へ至る山路は、いつ訪れてもきれいに清掃されている。
いつの台風でか、風倒木が細道を塞いでいるが、それもそのままに路は清浄さを保っている。
石蕗、櫨、落ち栗のイガ、菫、蒲公英の綿毛・・・・。
初めての町の、家並みや人々を眺めるように見る路傍の植物は、
「傍ら」ではなく、
そこに何代も暮らしている人間臭さがある。
草津小旅行
1999年11月14日