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8月15日(晴) |
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前橋-東京・浅草-竜泉 |
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前橋から東京めざし国道17号をさしたる渋滞もなく快調にひた走る。11時過ぎ、
なぜだか牛丼食べたくなって、熊谷市内で国道沿いのすき家に入る。今回の旅
は、昼食を11時にとることにしていたので、ちょうどいい。
13時前荒川を渡り東京に入り、14時前、竜泉に到着。最初に一葉記念館へ行
こうとするが、駐車場が見つからず右往左往。30分ほどうろうろして、あきらめて
浅草寺へ先に行くことに。浅草寺の裏に駐車場を見つけたので、浅草寺へは仲店
を通らず入ってしまった。寺の脇の売店がカランカランカランカランと鐘を振ってい
たのが、蝉より五月蠅い。 |
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浅草寺五重塔
「レンズには写らぬ蝉声浅草寺」駄句をひねってみる |
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一葉旧居跡の碑 |
道の反対側から望む |
写真ではわかりにくいが、突きあたりの茶色いビルのところで斜めの道に突き当たる。その道が吉原の外郭にあたる |
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浅草寺から一葉記念館まで歩いていこうとしたが、土地不案内とあまりの暑さのた
めに断念。後から地図で見ると残り500メートルまで迫っていたのだが。国際通りの
反対側にようやく駐車場を見つけ、一葉記念館に向かう。
台東区立一葉記念館は小さな建物であったが、展示内容はよく整理され、当時の
町並みの模型や、一葉の住居の模型もあり、なにより一葉への愛着が感じられる。
浅草の雑多な賑やかさから竜泉の路地に入ると、閑寂ながら人の生活を感じさせ
る。「郭近く人気悪しきところ」と人の言葉を一葉は日記に記したが、実際はどうであっ
たろう。「もの深き本郷の宿」から、歩いてほんの二、三分で遊郭の位置に移り住むこ
とは、うらぶれた思いを一葉に迫った。夜半過ぎても多い人通り、人力の行き交い、
藪蚊が冬に入るまで飛び、井戸は深く苦労しそうだと日記はさらにつづく。なによりも
恋い慕う中井桃水との離別の思いが、うらぶれた思いをさらに強くする。引っ越した夜
は雷が鳴ったと、日記に記す。日記ではあるが、虚実の間を行き来するような迫力が
ある部分である。
展示の中で胸を突いたのは『にごりえ』の冒頭部分を読んだときであった。
おい木村さん信さん寄つてお出よ、お寄りといつたら寄つても宜いではないか、又素
通りで二葉やへ行く氣だらう、
郭やその周辺で暮らす人々の中に、人の生の真実を見た瞬間が感じられる。一葉
が己の人生を離れて普遍的な生に上昇した瞬間の、体が宙に浮くふわっとした感覚
がある。
竜泉は閑かな下町であった。 |
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