9:30朝から雨。傘を差して岡崎城へ。
お城にさほど興味があるわけではないのだが、過去
の旅でも、松坂城、上野城、宇和島城、岡城、赤穂
城、とけっこう行っている。だってほかに見るものない
んだもん〜、てのが正直なところ。
岡崎城は平城だが、矢作川沿いの丘陵部にあり、平
山城と言ってもいいかもしれない。徳川家康が生まれ
た城ということで、幟がたくさん立っていた。いちおう
写真撮影。雨で空が白く、白っぽい写真ばかり。
昨夜のお店の写真も撮って、10:20ころ岡崎城公園を
出発。
10:50頃、Gustでハンバーグと海老フライ、去年もどこ
かで食べたぞ。 |
岡崎城 |
11:30頃、カーナビが目的地(額田郡幸田町大字菱池
字錦田)付近に着いたので案内を終了しますと言う。
インターネット検索では「綿田」とあったのだが、カー
ナビでは「錦田」とある。どちらが正しいのか。
うろうろしているうちに、電車のガードをくぐる。そのと
きに、見えました!
嗚呼、残念。「錦田」でした。
はいはい、じゃこれでこの旅は終わりね。
じつは、これ以降の予定は立ててなかったのだっ
た・・・
じゃ、郡上八幡に行ってみようか。
8月は毎晩のように踊りがあるというし。
で、郡上八幡のホテルに電話してみると満室だと言
う。
それにこの雨では踊りも中止だろう。
なんてことを、何の目的もなしに入った高速道下り線
で考えた。
では、彦根に行こうか。
いやいや、坂本があるではないか。
しかし、坂本近辺に適当な宿がない。
ということで彦根のホテルに電話すると、空室がある
というので、そこに決定。 |
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拡大
おしい、半字ちがい・・・ |
14:45頃、彦根城の堀沿いにある彦根キャッスルホテ
ルに着。
17:30ホテルを出て、目の前の彦根城へ。
彦根城は琵琶湖湖水に臨む平山城。
大手門の橋を渡ってお城に登る。
「日本の音風景百選」に選ばれたという蝉時雨。今回
はClieを持ってきていなかったので録音できなかった
が、あのサラウンド音響は、その場にいないと味わえ
ないものだ。
天秤櫓手前に与謝蕪村の俳句の看板がある。
鮒鮨や彦根の城に雲かかる
天守閣のある山頂に登ると、琵琶湖が見える。
ちょうど雨上がりで、周囲の山、対岸の山から、琵琶
湖から立ち上った水気が雲となって湧き上がってい
る。
前掲の句、じつは、
鮒鮨や彦根が城に雲かかる
なのだが、どうしてこんな基本的なミスを平気で犯す
のだろう。
与謝蕪村は大阪毛馬の出身といい、後年京で過ごし
た。
作風は磊落といわれ、天明期の爛漫とした町人文化
の中にいた俳人、画人である。
グルメでもあったらしく、すしを詠んだ句もいくつか見
える。
鮒ずしや彦根が城に雲かゝる
すし桶を洗へば浅き游魚かな
蓼の葉を此君と申せ雀鮓
なれ過た鮓をあるじの遺恨哉
鮓桶をこれへと樹下に床几哉
鮓つけて誰待としもなき身哉
これらはすべて、いわゆる「なれ鮓」。鮒鮓のようにネ
タ(多くは魚)と飯を交互に敷き詰めて自然発酵させ
たもの。したがって、漢字は魚偏に作ると書く。
鮒ずしの句、この日彦根城を訪れるまで、青い空に
わき上がる白い雲を背景にしたお城の光景が脳裏に
浮かび、なんともぺたっとした看板のようで、ぴんとこ
なかった。
今回雨上がりの湖水の風景を前にすると、「雲」とは
このことであったかと合点する。
夏、京から彦根へ湖畔の道を歩いていると、湖から立
ち上った水蒸気が、遠景を雲のように包んでいる。
その雲に隠れたあたりに彦根城があり、そこに行け
ば好物の鮓が食える。疲れた足も軽くなろうというも
の。
また、「彦根が城」は「ひこねがじょう」と読むのだとい
う説もあり、そう考えると、彦根の天守閣だけでなく、
彦根の町一帯を指すとも考えられる。雲に隠されたあ
たりの彦根の町を目指す心であろうか。
そんな解釈も可能であろう。
旅から帰った今になって思い出したが、芭蕉の弟子、
森河許六は彦根藩士であり、後年家老職まで勤めた
のであった。
彦根を歩いていて、許六のきょの字も見あたらなかっ
た。なんとしたことであろうか。
そういえば、夢京橋キャッスルロードの歩道には、俳
句らしきものが埋め込んであったものの、彦根では文
芸の香りらしきものすら感じられなかった。
また、かつては石田三成の所領であったにもかかわ
らず、そのことにいささかも触れようとしていない。
歴史の根深さというものであろうか。
前日の岡崎は同じ城下町とはいえ、中世的なおおら
かさを残しているように思える。
家康は江戸幕府を開府したとはいえ、中世人であり、
海外貿易にも興味を示し、オランダ人ヤン・ヨーステン
を幕臣に取り立てたりもした。
彦根の城主であった井伊家は、甲斐武田氏の遺制で
ある「赤備え」を許され、先鋒をまかされた徳川譜代
であり、幕府の体制の中で自らの藩を成立させようと
律してきた。
この律しようが、町の空気を作り上げ、今の彦根市の
ありようを決定づけているように思える。
岡崎や、翌日に行く堺に、安土桃山時代の、胸元をく
つろげたおおらかさが感じられるのに対して、彦根
は、胸元をきっちりかき合わせた裃姿のような感じで
あった。
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雲かかる彦根城
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彦根城から琵琶湖を望む |
石田三成のかつての居城、佐和山
城があったあたり。 |
旅の小動物シリーズ。
かたつむりを見るのも久しぶり。
これが翌日の事故の伏線になろうと
は・・・
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19:00前、夢京橋キャッスルロード。端正な江戸武士
の風格の感じられる通り。
あれこれ食べ物屋を物色する。
せっかく彦根に来たのだから、鮒ずしか近江牛だな。
今日は肉食したい感じだから、迷わず近江牛。
カーナビで検索した結果出てきた「伽羅」に行ってみ
る。
入り口のメニューを見てみると、ステーキ6500円とあ
るではないか。
没! 沈没!
通をもう少し行ったところにある「焼牛 たかし」という
店に入る。
「焼牛」とあるから、牛を食わせてくれるだろう。入る
と、
ん?
表の雰囲気とは違い、ただの飲み屋さん。しかも、今
夜も客は私一人・・・・・・。
瓶ビールと「近江牛スジの味噌煮込み」をたのむ。
そうしているうちに、男性二人連れや団体客が入って
くる。
スジの味噌煮込みは、丁寧な仕事で美味しい。
「近江牛ガーリックステーキ」(1300円)をたのむ。
薄い肉を網で焼いて、カリカリに揚げたガーリックスラ
イスが振りかけてある。薄くて、味があまりわからな
い。6500円と1300円の差とは、これほどまでにあるの
だろうか。 |
近江牛せんなり亭伽羅
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焼牛たかし
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今日の走行距離:154.5Km
今日のBGM:
aisA/楠瀬誠志郎
Natural Elements/Shakti with John McLaughlin |
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